家族葬とは?

日本もついに超高齢社会となり、死についての価値観も多様化してきています。
特に葬儀の形については、従来の伝統的宗教儀式を重んじた形ではなく、遺族の方々のみで行う家族葬が増加しています。

家族葬は1990年代から始まったご家族を中心とした少人数制の葬儀のことをいいます。
家族葬に参列する範囲は主催者側で決めることが出来るため、家族のみで行う場合や少数の親族のみで行うなど、自由に設定することが出来ます。
大体10人以下~50人ぐらいまでの範囲で行う葬儀が、家族葬と括られています。

経済的背景と故人からの遺志

昨今の日本社会では高齢社会化が進むことで、介護費に負担がかかるようになってきています。
施設入居はもちろん、在宅介護の場合でもリフォームが必要だったりなど、老後そのものにかかる費用自体が増加しています。
それに加え、日本社会全般が不景気にあることから、出来る限り葬儀はコストをかけずに行いたいという高齢者の方やご家族が増えてきています。
家族葬にかかるコストは、だいたい40万円からで、上限は主催者側の希望により変わってきます。

何故ここまでコストが抑えられるのかというと、その一因のひとつに家族葬では参列客に食事をふるまうことがないということがあげられます。
家族葬はあくまでも主催者側の意向次第で金額設定をすることが可能であるということも、増加の理由の一端を担っています。

故人自身もそうした経済的背景における負担を鑑み、生前から「家族に自分の葬儀で経済的負担をかけたくない」として希望されることもあります。
また、最近の社会的傾向から友人が少ない、退職した後は仕事関係者とまったく繋がりがないので参列者が少ないといったことから、家族や近しい親族のみに見送ってもらいたいという背景もあるようです。
最近では、終活などで遺言書、或いはエンディングノートに「自分が希望する葬儀」を記載している人も少なくありません。
そうした希望に則って少人数でお見送りするケースもあります。

宗教儀礼やしきたりに縛られたくない

かつての日本では仏教の宗派の檀家となり、亡くなった際にはそのお寺の儀礼に従って葬儀を行うということが一般的でしたが、宗教儀礼に従った葬儀は費用面での負担が大きいといった背景がありました。
そのため、最近では檀家に入っていない家族が一般的になってきていることから、宗教儀礼とは異なり「故人の希望に沿ってお見送りをしたい」という希望が増えてきています。

また、しきたりや儀礼に縛られないことから、無宗教として自由に葬儀を設定するケースが見られています。
例えば故人の写真をスライドショーで流したり、故人の思い出話をしながら食事をしたりなど、あくまでも個人の個性を優先した形での葬儀を設定できることも魅力のひとつと言えるでしょう。