経済的虐待とはどのようなことか

ある調査によりますと、高齢者を介護する家族からの虐待のうち約20%を占めるのは経済的虐待です。
この経済的虐待とは聞き慣れない言葉ですが、どういったことでしょうか。

経済的虐待とは、介護する家族が高齢者の預貯金を使いこんでしまうことです。
もう少し詳しくご紹介しますと、たいていの家では、高齢の親等を介護する場合は親の預貯金を子供が預かり、そこから病院代などの必要なお金を出し入れします。
しかし、中にはそういった大事なお金を親のためではなく、自分のために使ってしまう人もいるのです。
このような行為を経済的虐待と言います。

実情や背景を考えてみる

上記に掲げました経済的虐待の実情や背景について、考えてみます。
どのような人が、そのようなことを行うのでしょうか。

介護に携わる子供などが経済的に困窮している場合、経済的虐待に走るケースが多いです。
特に、認知症を発症している高齢者は、自分でお金の勘定や管理が出来ないので、子供がその役割を果たす場合が多いのですが、その子供自身が失業などで経済的に困窮していると、親のお金に手を出してしまうことがあります。

たとえば、消費者金融に借金がある、高額な物をつい買ってしまったが、カードの引き落とし日までにお金を用意できないなどのケースがあるかもしれません。
または、その人の子供の学費が払えなくて困っている場合も考えられます。

きっと、最初は自分の親のお金だから、少しくらいはいいだろうという軽い気持ちだったのかもしれません。
しかし、後で返そうと思ってすぐに返せるようなものではなく、どんどんと使いこんでしまったのでしょう。

経済的虐待を防止するために必要なことは?

いくら、高齢者に財産があったとしても、限りがあるでしょう。
使いこみが多くなり、病院代などが払えなくなる場合もありますし、高齢者に必要なお金を渡せなくなってしまうこともあります。
そのようなことを避けるには、どうしたら良いでしょうか。

最近では、銀行でも、こうした経済的虐待に気づけるように高齢者が不自然な現金の引き出しをしていないかチェックするようになりました。
アメリカではすでにチェック機能としてAIを導入しているようなので、日本でも近々そのようになるかもしれません。

また、地域でも高齢者に対しての対策を重んじています。
例えば、成年後見制度を利用するなどして早めに発見して、このような経済的虐待を阻止するようにしようという努力を怠りません。

その他にも、地域の中で早めに気づくように、ケアマネージャーや民生委員が中心になって、地域でのコミュニケーションの機会を広めようとしています。
そのように、集まれるような機会があれば、高齢者から話を聞きだし、あやしいと思ったら、早めに家族に確認できるでしょう。
そうすることで、大きな事にならないうちに食い止められるかもしれません。

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