誤嚥(ごえん)とは
誤嚥(ごえん)とは、一度口に入った食べものが詰まってしまい、咽頭や器官などに入ることで大きく2つに分けることが出来ます。
一つは「顕性誤嚥」(けんせいごえん)で、この場合は食べものが器官に入り、激しくむせますので、本人はもちろん、周囲もすぐに気付くので対処できるでしょう。
二つ目は「無顕性誤嚥」(むけんせいごえん)で、こちらはむせることがないので、わかりにくいです。
実は、こちらの誤嚥は本人にもわからないことがあり、寝ている間に唾液が詰まり、「無顕性誤嚥」を繰り返しているかもしれません。
このようなことから、誤嚥は食事中食べものを飲み込み時に起こるように思われますが、そればかりとはいえないのです。
食べものを噛んでいる嚥下前や飲みこもうとした瞬間の嚥下中にも、このような誤嚥が起こる事があります。
近年の誤嚥事故の状況について
では、近年における嚥下事故の状況をお伝えします。
参考にして頂ければ、幸いです。
ある介護施設で起こったケースをご紹介しましょう。
こちらのケースは、入居男性が食べたものをつまらせて亡くなってしまいました。
誤嚥事故の典型的なケースです。
原因は介護サービスの安全性が足りなかったということになっています。
また、別の介護施設では、誤嚥が原因で裁判になりました。
こちらは、ショートステイの男性が朝食のパンをのどに詰まらせてしまったのです。
約1時間後に心肺停止になりましたが、パンが取り除かれたので、命はとりとめました。
しかし、低酸素脳症という意識が戻らない重い障害が残ったのです。
男性の家族は施設側を裁判で訴えました。
その訴えは認められ、施設側は賠償金を払う事になったのです。
このような誤嚥の事故は、日本全国のあらゆる施設で起こっています。
誤嚥の原因を知ろう
誤嚥の原因を知る事は大事です。
知る事によって、誤嚥事故を防げる可能性があります。
考えられる原因を挙げてみましょう。
3つほどあります。
まずは、舌やのどに問題があるかもしれないということです。
こういった場合は器質的原因といわれ、舌やのどの問題のためにうまく飲みこめないことが考えられます。
次に、加齢による機能の低下で神経や筋肉といった舌やのどを動かすのに必要な機能にダメージがあるということです。
こちらは機能的原因と言われ、よくある事なので家族や介護者は、気をつけなければいけません。
さらに、心理的な疾患のためにうまく飲み込めず、誤嚥が起こることもあります。
こちらは精神心理的疾患です。
誤嚥対策を考えてみる
では最後に、誤嚥対策を考えましょう。
とろみを付けると良いとされています。
固形物の他に飲料でも誤飲は起こりやすいのですが、とろみをつけることで飲みこみやすくなり、誤嚥を防ぐことができるのです。
但し、余りにもとろみをつけすぎてしまうと、かえって飲みこみにくく、むせてしまいますから、ほどほどにするように気を付けてください。