要介護者のいる世帯、50%以上が「老老介護」

超高齢社会に突入した日本において、ひとつの課題となっているのが「老老介護」です。
老老介護とは、65歳以上の高齢者を同じく65歳以上の高齢者が介護している状況を指す言葉で、65歳以上の夫婦介護、或いは65歳以上の子が自分の親を介護していることをさします。
老老介護の中には認認介護もあり、認知症の高齢者が同じく認知症の家族を介護しているような世帯もあります。

老老介護が共倒れになってしまいかねない理由

介護とは非常に体力、および精神力も使うもので、65歳未満の成人が仕事として介護をしていても疲労や心労を重ねてしまうほど大変なものです。
そのため、65歳以上の高齢になった中で配偶者、あるいは親の介護をするというのは要介護者と共に介護者も共倒れしてしまうリスクが高い状況と言えます。

特に認知症の高齢者同士における介護は、事故にもつながりかねない非常に危険な状況です。
経済管理が出来なくなり、光熱費が払えず水道や電気が止まってしまっている中で生活を続けていたり、火の不始末などから火事になる危険などもあります。

老老介護が増えた背景としては、核家族化が進んだことがあげられるでしょう。
しかしそうした社会背景だけでなく、高齢者における価値観も原因の一端を担っている場合もあります。
例えば、今の高齢者は戦争経験者や戦後の物資がない大変な時代を乗り越えてきた人達も多く、そのため他人の世話になることを恥と考えている人も少なくありません。
そのため、高齢になってからも夫婦だけで周囲に迷惑をかけずに生活したいという思いがあります。

また、介護保険制度や介護サービス自体が21世紀に入ってから急激に成長してきたため、高齢者の方々がそうしたサービスを知らない、というケースもあります。
老老介護をしてきて脱水や熱中症をおこして入院し、そこで初めて介護サービスを知ったという高齢者の方も珍しくありません。

老老介護で共倒れにならないために

老老介護では、介護者、要介護者ともに社会から孤立し、援助をなかなか申し出ることが出来ない、というケースがみられます。
もしまだ介護サービスをいれていない場合であれば、ひとまず家族、親族、或いは近所の人、誰にでもよいので状況を話すようにしましょう。
そうすることで、他の高齢者世帯がどのようにしているかを知る機会になります。

また、生活保護を受けていて経済的に介護サービスを受けられないという場合には、生活福祉センターの担当者に相談することをおすすめします。
地域医療福祉に相談を持ち掛け、介護認定や介護サービスを受けられるような手順を整えてくれるでしょう。
そして、少しでも体調が悪い時には必ず病院にかかるようにしましょう。
上記したように、入院をきっかけに介護サービスを受けるようになった高齢者の方は少なくありませんので、早めのSOSをお薦めします。