体の衰えを招く口腔の衰え

高齢になると、口腔機能が衰えてきます。
このため介護をする際は、口腔ケアは不可欠となります。

お口の機能が衰えると、物を噛んで飲み込むというプロセスがうまく行えなくなるため、栄養を取ることが難しくなります。
栄養が不足すると筋肉の衰えや、身体機能・免疫力の低下、認知症などの症状の進行など、さまざまな悪影響があります。
また、介護を受ける人にとって、毎日の食事は、楽しみでもあります。
高齢者の生きがいを奪わないためにも、
介護を少しでも楽にするためにも、高齢者のお口のケアはとても大切なのです。
そこで今回は、歯ブラシの介護方法について、まとめてみました。

立って歯磨きができる場合

介護度が低く、自分で立てる場合は、なるべく立ったままの状態で自分で歯ブラシをしてもらいましょう。

長時間立っていられない場合は、転倒などの危険を防ぐために、車椅子などに座って歯ブラシをしてもらってください。

車椅子などに座った状態で、自分で歯磨きができる場合も自分で歯磨きをしてもらいましょう。
洗面所で座って歯磨きをすると、蛇口から遠くなるので、手の届く位置にコップを置くなど、動作がしやすいように配慮してください。

自分で歯磨きをすると、手を動かすリハビリテーションになって、機能の衰えを防ぐメリットもあります。
できることはなるべく自分でしてもらいましょう。
高齢者が歯磨きしやすいように工夫された歯ブラシも販売されていますが、そのようなグッズを使うのもおすすめです。
そして最後に、介護者が磨き残しがないかなどのチェックを行ってください。

座って歯磨きをする場合

自分で磨けない場合は、車椅子の場合は背もたれがあるのでそのまま歯磨きをしますが、ベッドや布団に座る場合は、背を支えるものを用意するなど、倒れないように注意してください。

後ろに回り込むスペースがある場合は後ろ側から、ベッドなどで後ろに回り込むスペースがない場合は、前面から磨きます。

歯磨きをするときは力を入れず、やさしく磨いてください。
歯ブラシは、細かな部分まできちんと磨けるように、ペンを握るように持ちましょう。
同じ歯を20回程度ブラッシングして、歯を磨いていきます。

歯ブラシは慣れるまでは時間がかかりますし、腰をかがめた状態で行うため、介護者にも負担がかかります。
介護を受ける人も、長く口を開けたままでいるのはとても疲れるものです。
歯磨きを苦痛に感じると、介助を嫌がるようになるので、最初から完璧を目指さず、なるべく短時間で歯磨きを終えるようにして、歯磨きは気持ちいいと感じてもらうよう心がけましょう。

入れ歯も毎日磨こう

入れ歯も、毎日きれいにしてください。
寝ているときに入れ歯をいれたままにすると、雑菌が繁殖しやすいので禁物です。
夜寝るときは入れ歯を外して、水を入れた容器で保管します。

入れ歯は、市販の歯磨き用の歯ブラシか、入れ歯専用の歯ブラシで磨きます。
吸盤付きの歯ブラシを使うと、片側マヒの人でも、自分で入れ歯を磨くことができます。

入れ歯はまず、流水で汚れを落とし、入れ歯歯ブラシで磨いてください。
容器に水と入れ歯洗浄剤を入れて、入れ歯を浸します。
入れ歯がきれいになったら、流水で流しながら、再度歯ブラシで磨きましょう。
入れ歯洗浄剤がとれるまで、磨いてください。