言っていることを否定したり行動を制限してはいけない

認知症になると、辻褄の合わないことを言ったり、明らかに間違った記憶に基づいて話をしたりすることがあります。
家族はそうした話を否定してはいけません。
時には、認知症のゆえにおかしな体験をしたということを言うこともあるかもしれません。
しかし、そんなことはないと言うのではなく、心配だったねといった言葉をかけてあげるだけで良いのです。
また、おかしなことを言った時にそれをとがめて叱るようなことも避けるべきです。

認知症を患って記憶や思考があやふやになっているとしても、本人のプライドや恥ずかしいと思う気持ちは同じです。
また、周りから見るとおかしな話でも、本人としては本当にそう思っていることでもあります。
それを否定したり叱ったりすれば、本人の心情を傷つけるだけに終わってしまいます。

それを正しても認知症が改善するわけではありませんので、大事なのは本人が心の穏やかさを保てるようにしてあげることです。
家族がその状況を受け止めて、落ち着いてから本人が言っていることを聞いてあげて、その気持ちに寄り添っていくことが大事なのです。

また、認知症が進むと徘徊が起こるようになります。
家の中でもウロウロするようになったり、外に出て迷子になってしまったりすることもあるかもしれません。
そんな時、行動を制限して家の中や部屋の中に閉じ込めてしまう事例が見受けられます。
しかし、こうした行動の制限は避けるべきです。
もちろん、夜間に家族が寝ている時に外に出て、事故を起こしたり警察のお世話になったりすることはできるだけ回避したいのは事実です。

しかし、周りには意味のない徘徊であっても、本人にとっては理由があって家の内外を歩き回っているのです。
また無理に部屋や家に閉じ込めようとすると、そこから無理に出ようとして危険な行動を取ってしまうことがあります。
そこで、徘徊しているようなら、どうして歩いているの?どこに行きたいの?といった感じで、優しく尋ねてあげることができます。
見守りサービスを使うなどして、いつでも本人の居場所が分かるようにしておくなどの実際的な備えをすることも大事です。

家族は認知症を受け入れることが大切

最も大事なのは、親が認知症であるという事実を受け入れることです。
それを隠そうとしたり、自分の親に起こっていることを信じたくないという気持ちがあると、上記のような無理のある接し方をするようになります。
現実は現実として受け止め、それにうまく対処できるようにする方法を探しましょう。

親の気持ちを傷つけることなく、また身体的な被害を受けるようなことがない方法を考えます。
そうすれば、落ち着いて様々な事態に対処しやすくなります。