高齢者は体の中に水分を留めることができません

夏場になると決まって報道されるようになるのが熱中症に関する情報です。
特に高齢者は毎年数多くの人が熱中症によって病院に搬送されており、最悪の場合にはそのまま死に至ってしまうこともあります。

熱中症が起こる理由は外気温に対して体温調節をすることができなくなり、熱が上がりすぎて正常な体の機能を行うことができなくなってしまうからです。

一度深刻な熱中症状が体内で起こるとそれによって脳内の細胞が破壊されてしまうこともあるので、涼しい場所に移動して十分に体温を下げても本来の機能を取り戻すことができなくなってしまいます。
最大の熱中症対策は予防であるということを意識し、初夏の頃から温度変化には十分に注意していくようにしましょう。

高齢者に熱中症が多いのは、高齢になると体内の水分量が減少するため脱水症状が起こりやすくなってしまうからです。
人の体の大部分は水分によってできていますが、乳幼児の頃は70%近くが水分であるのに対し、成人になると60%程度、高齢者になると50%と次第に割合が低下していってしまいます。

体内の水分量が低下をするとそれだけ頻繁な水分補給が必要になります。
自分の感覚としては喉が乾いているという感じはしないのに、既に脱水症状が進んでいるということもよくあるので高齢者は特に夏場頻繁に水を飲むようにしましょう。

脱水のサインを見逃さないようにする

喉の乾きを感じにくいということの他にも高齢者が脱水症状を起こしやすい理由はいくつかあります。

まず皮膚表面の感覚が鈍くなるため、暑いという感覚を感じにくくなってしまうということがあります。
特に普段から運動不足であまり汗をかかない生活をしている人は、気温が高くなっても汗をかかないことから感覚的に「暑い」という意識が得にくくなってしまいます。

体質的に慢性疾患がある人も熱中症になりやすいという特長があります。
特に糖尿病や腎臓病などを発症している人は基礎体力が低いことから、脱水症状が起こると一気に熱中症にまで進行してしまいます。

脱水症状のために具合が悪いのか、慢性疾患のせいなのかがわかりづらいということも発見を遅らせる原因になります。
脱水症状の初期によく起こるサインとしては「なんとなく元気が出ない」「脇の下が乾いている」「爪の先を軽く押しても赤みがすぐに戻らない」ということがあります。

さらに症状が進行してくると、顔が火照って真っ赤になってきたり、めまいを起こして体を自由に動かせなくなってきます。

さらに進行すると体温が異常に高くなり、筋肉痙攣が起こって意識障害が起こるようになってきます。
こうなるとかなり危険なので意識があるうちに救急車を呼ぶなど早めに対処しましょう。