アニマルセラピーの効果とは?

ここ近年は空前のペットブームと言ってもよいほど家で動物を飼う人が増加しています。

中でも高齢者がペットを飼う件数は急激に増えてきており、独居で生活をする高齢者の中には一人で数匹~数十匹にもおよぶ犬やネコを飼っているという例もあるほどです。

なぜこんなにもペットを飼いたがる人が増えてきたかというと、それは家族と離れて生活をしているとどうしても孤独感を感じやすく、気分がふさぎがちになってしまうためです。

家に動物がいることで「自分がいないとこの子は生活ができなくなってしまう」といった責任感も出てきますし、何よりも自分になついてくれる動物とのふれあいはとても気持ちが安らぐものです。

認知症にかかりほとんど意識がなくなってしまった高齢者に定期的に動物とふれあうようにしていったところ、少しずつ意識を回復させていくことができたという例もあるほど、他の生物とのふれあいというのは人の心に絶大な効果をもたらしてくれます。

動物と普段から触れ合っている高齢者は血圧の上昇が緩和したり、心臓病など重篤な病状の進行が遅くなったりという効果があるという研究もあります。

ペットが犬の場合には散歩のために必ず外出をすることになるため、家に閉じこもりっぱなしになることを防ぎ足腰の弱化を防ぐ効果もあります。

高齢者にとってペットとどう付き合っていくかということは、健康状態に直結する重大な要素になると言ってよいでしょう。

一方で増える高齢者の元ペットたちの処分問題

ペットと高齢者の問題でもう一つ忘れないでもらいたいのが、元ペットたちの処分件数も同時に非常に増えてきているということです。

独居の高齢者の場合、ちょっとした体調の変化がそのまま死亡につながってしまうということもよくあるため、遺されたペットたちはそれから発見まで自宅で待機をすることになってしまいます。

仮に発見が早かったとしても、それまで親が飼育していたペットを子供が引き取ることができずやむなく保健所に届けるというケースも珍しくなく、生前までとの待遇が一変してしまうというペットも少なくありません。

実際あった事例として近所の人がしばらく顔を見なかった高齢者の部屋を訪れてみたところ、部屋の中には腐敗が始まった高齢者の遺体とその近くでガリガリに痩せたペットが発見されたということもあったそうで、万が一のときには本人だけでなく飼育されているペットにも大きな不幸を及ぼしてしまうということになります。

ペットを飼育する場合には亡くなってからのこともよく考えて、その上で責任をもって飼育をしていくようにしてもらいたいところです。

動物と暮らせる高齢者施設もあります

とはいえきちんと節度のある付き合いができればペットは高齢者の健康にとって大変に有用な働きをしてくれます。

自宅でペットを飼育するのが難しいという人の場合には、高齢者向けの施設に入所してそこで定期的なアニマルセラピーを受けるということもできます。

高齢者向けの施設の中にはこのアニマルセラピーをより積極的に受け入れ、施設内やそれに近い場所でペットを飼育して日常的に動物にふれることができるようにしているというところもあります。

もちろんもともと動物が苦手であったりアレルギーがあるという人は無理に入る必要はありませんが、自宅で飼いたいけれども将来が不安という人はそうしたところに入ってみるというのもよい選択なのではないでしょうか。