介護施設の利用形態の種類

高齢者向けの介護施設は公営・民営合わせて相当の数が全国に存在しています。

ここ近年の高齢者人口の急増傾向に伴い、同じ「高齢者向け施設」であってもそれぞれの家庭によって望まれるサービスに大きな違いが生じるようになってきています。

そのため現在高齢者向け施設として運営されているところは、数だけでなく種類も多様化してきているというのが現状です。

高齢者向け施設の中でも最も有名なのが「特別養護老人ホーム」と言われる公的施設ですが、他にも「有料老人ホーム」や「軽費老人ホーム(ケアハウス)」「グループホーム」「シニア向け住宅」などといったものがあります。

公的施設である特別養護老人ホームは入所をする前に自治体を通して介護認定を受け、その重度に従って入所の順位や提供されるサービスを決めていきます。

そのため地域によっては自治体の持つ受け皿が間に合わず、本人の希望どおりに施設を利用することができなかったりします。

そこで公的な施設よりもかかる費用は高くなりますが、その分きめ細かくサービス対応をしてもらうことができる民間の施設が注目をされるようになってきています。

実際に今すぐ介護が必要な人だけでなく、現在は健康ではあるものの体力的に不安を感じていたり、独居の難しさを実感するようになってきた人などは、自分の状態に応じてそうしたところでサービスを検索してみるとよいでしょう。

入所前に確認しておきたいこと

ただし便利な高齢者用施設ですが、入居前にその契約方式をしっかり理解しておかないとあとから困った事態になってしまうこともあります。

特別養護老人ホームは公的施設ということで他の高齢者向け施設と比較してかなり安い費用で入所をすることができます。

しかし現在では全国どの自治体でも入所希望者に対しての受け皿が慢性的に不足しており、入所をするためには要介護認定の中でもかなり重度と診断されていなければならないなどの条件があります。

そこで多くの人が利用することになるのが有料老人ホームですが、こちらは特別養護老人ホームのように一律にずっと長期間の入所を前提に作られているというわけではありません。

高齢者向け施設の入所形式には大きく4つの種類があり、それぞれ「終身利用方式」「建物賃貸借方式」「終身建物賃貸借方式」「所有権分譲方式」となっています。

有料老人ホームとして運営されている施設のほとんどで採用されているのが「終身利用方式」で、こちらは介護や生活支援を必要とする人が入所をすることで、その人が亡くなるまでといった期間をさだめない方法で契約を交わします。

入所時に支払う費用はあくまでもその建物の使用料という扱いになり、契約をすることで建物そのものの所有権を得るというわけではありません。

つまり仮に入所中に亡くなったという場合にはその権利の相続が配偶者や子供などに受け継がれることはなくその条件により契約が終了になるのです。

賃貸借契約をするときの注意点

最近は高齢者といっても十分に自立した生活をすることができる健康な人も増えてきました。

そこで有料老人ホームのように完全介護を受けるのではなく、自分の生活はそのままに必要なサービスだけを受けるという契約方式も多く選ばれています。

その中の契約方法が「建物賃貸借方式」と「終身建物賃貸借方式」で、入所をするときには一般の賃貸借契約と同じように権利を設定し、家賃を支払うことによりそこで利用できる支援サービスを受けることとなります。

「建物賃貸借方式」は一般のアパート契約とかなり近く、賃貸借契約と支援サービスを別々に決めて契約するということもあります。

一方の「終身建物賃貸借方式」は都道府県による「終身建物賃貸借事業認可」を受けた施設のみが提供できるものですが、これは契約の更新をする必要がなく契約をすることで亡くなるまでの期間ずっと使用をすることができるようにするというものです。

最後の「所有権分譲方式」は賃貸借ではなくマンションのように自分の持ち物として購入をするという方法です。

「シニア向けマンション」として高齢者向けに販売されている物件を購入するもので、自分の持ち物なので当然終身住み続けることができます。

在住中に亡くなったというときにはそれを買い取ってくれるという条件をつけることもできます。