慣れるまでが大変な入浴介助

体の自由がききにくくなった高齢者にとっては、入浴時の介助はどうしても必要です。

まず最初に知っておいてもらいたいのが住宅内で起こる事故件数のうち、入浴中の事故が占める件数というのは大変に多くそのうちの約半数は65歳以上の高齢者となっています。

高齢者以外の若い人であっても入浴中に循環器や消化器に不調を感じ救急搬送をされることになるケースはかなり多いため、十分に家族は気をつけてあげる必要があります。

入浴中に起こる事故の三大原因は「心疾患」「脳血管障害」「溺死」となっています。

特に心疾患および脳血管障害はいずれも血流が急激に変化をしてしまうことによって起こるということで共通しており、入浴前に適切な環境を作ることができるかどうかということがそのまま事故防止に繋がるといってもよいほどです。

危険度が高いのは冬場で、温かい部屋から冷えきった脱衣所に移動して急に衣類を脱ぐことで血圧が急上昇し、そこにさらにいきなり高温の浴槽に入るとその温度変化に体の温度調節機能がついていかずに血管の詰まりが生じるということがよくあります。

高齢者がいる住宅だけでなく、入浴をするときにはお風呂場だけでなく脱衣所も十分に温めておいてから入浴をするようにしましょう。

以前から高血圧などの症状がある高齢者の場合には、入浴前にバイタルチェックをするというのもおすすめです。

血圧が普段よりも高いと感じたら無理に入浴はせずに体を拭くなど別の方法で対応をするようにしてください。

転倒を防ぐための準備も忘れずに

数そのものは多くありませんが、お風呂場で起こるもう一つの事故として「転倒」があります。

高齢者向けのバリアフリー住宅ではお風呂場の段差がなく、手すりがついているなどの工夫がありますが、そこまでしっかりした設備というわけでないという家でも、例えば転倒を防ぐためにマットを敷いたり付き添いをする人がしっかり体を支えてあげるようにしたりすることで対応ができます。

入浴をするときには先に述べたように急激に体内の温度変化が起こらないよう、まずは温めのお湯から順に体にかけていくようにして少しずつ体をお湯に慣らしていきます。

また入浴時に浴槽内椅子などがあるとかなり高齢者の体への負担が軽くなります。

体にお湯をかけるときには耳などから水が入らないようにまずは声掛けをして準備をしてもらい、ゆっくり丁寧に洗髪や洗体をしていきます。

特に家からあまり出ない高齢者の場合には皮膚に病気が出てしまうということもよくあるので、頭皮や皮膚に異常がないかを確認しながら洗っていきます。

浴槽に浸かるときには最後まで体を支える

入浴をするときに最も気持ちがよいのは浴槽に入るときです。

ですが高齢者の多くは足腰が弱くなり片足で自分の体を支えることが難しく、浴槽に入ることを怖がる傾向があります。

ですので介護者は浴槽に入るときにはしっかりと腕や腰を支えて一緒に立ち、自分が支えているから大丈夫と声掛けをしながら片足ずつゆっくり入るようにしていきましょう。

この時もあまり熱いお湯に入ると危険ですので、まずは介護者がしっかりと温度を確認し、高齢者に熱くないかを確認しながら入るようにしてください。