高齢者にとって大きな悩みとなる排泄

介護が必要な高齢者の多くが直面することとなるのが「排泄」に関する機能不全です。

私達は普段何気なくトイレで排泄を行っていますが、これが高齢者になってくると思うように排泄をコントロールできなくなってきてしまいます。

特に認知症などになると尿意や便意を催してもトイレに行ってから排泄をするということができにくくなり、室内や廊下で失禁をしてしまうこともよくあります。

これは排泄のコントロールをするために必要となる下半身の筋肉が弱くなるとともに、尿意や便意を感じてどのくらい切迫しているかということの判断がしにくくなってしまうことが原因です。

また仮に自分の尿意や便意が理解できていても、体の機能そのものが弱くなってしまっているためにトイレの場所に移動をして服を脱ぐという作業までを行うことができなくなったりもします。

この排泄の失敗は特に高齢者自身に「老い」を強く感じることでもあり、たびたび失禁を繰り返してしまうことにより激しく自尊心を傷つけられそこから急激に老化現象を悪化させていってしまうこともよくあります。

高齢者にとってこの排泄は必ず起こる悩みであるということをしっかりと周囲は頭に入れ、よりよい排泄をしていくためにはどういった方法がとられるかということを一緒に考えていくようにしましょう。

高齢者と便秘の問題

失禁とともに高齢者にとって深い悩みとなるのが便秘です。

実は高齢者世代で便秘に悩む人は男女問わずに非常に多く、長く便が腸内にとどまることにより腹痛や腸内の炎症といった重大な病気が起こりやすくなってきます。

高齢者に便秘が多い原因としては、まず下半身の筋力が低下してしまうことにより便を出すためのふんばりをきかせることができなくなるということがあります。

また高齢になると胃腸の働きが弱くなることで一回あたりの食事の量が減ってしまい、それが便として排泄をすることを難しくしてしまうということがあります。

食事の量が単に少ないということのほかに、食が細いため偏食がちになってしまい便通をよくする食品を継続的に食べなくなってしまうということも関係してきます。

他にも慢性疾患を持っている人が服用している薬品が便秘のもとになっているケースもあります。

若いうちからの便秘対策として推奨されていることとして「腸内環境をよくする」ということがありますが、このための対策は高齢者になるほどますます重要になると思っておいた方がよいでしょう。

食事と運動を合わせて行っていく

高齢者の便秘対策の基本は内臓機能を活発化させるということです。

そのためには食生活を改善するとともに、水分を豊富にとり運動を定期的に行うということが効果的です。

特にこの運動は下半身の筋力をたかめるとともに、体を動かすことで血行をよくして内臓全体の動きを活発化するという重要な役割をするため、軽い体操や散歩などできるだけ日常的に体を動かすようにしていきたいところです。

便秘ではなく失禁の恐れがあるという人の場合には、尿意や便意をもよおしてからトイレに行くということをせずに、毎日決まった時間に必ずトイレに行くようにするという習慣をつけていくのがよいでしょう。