褥瘡(じょくそう)が起こる原因と予防方法

寝たきりの要介護者が気をつけなければいけないのが「褥瘡(じょくそう)」です。
褥瘡とは別名「床ずれ」と言われる、体重で圧迫された部分の皮膚がただれて傷になってしまうことを言います。

同じ姿勢で横になり続けていると、体の下側の重量のある部分の血流が妨げられてしまうので、皮膚に十分な酸素や栄養分が行き渡らなくなりそれがただれのもとになります。

健康な人の場合には無意識に体の向きを変えたり、圧迫された部分を浮かせたりするのですが、寝たきりになっている人は自分で寝返りをうったりして体の圧迫を調節することができません。

さらに寝たきりの人の中でも、長期間体を動かしていないために栄養状態が悪くなっていたり、皮膚が弱くなっている人の場合にはより一層褥瘡が起こりやすくなってしまいます。

特定の慢性疾患を持っている人も褥瘡を発症しやすいという特長があり、うっ血性心不全、骨盤骨折、脊髄損傷といった体の動きが不自由になる病気や、糖尿病、脳血管疾患、閉塞性肺疾患のような体内の循環環境が悪くなる病気がある場合には注意が必要です。

褥瘡を防ぐためにはまずはこまめに体を拭いたりシーツを取り替えたりして体と布団の間の通気を良くすることが大切です。
それに加えてできるだけ褥瘡を発症しにくくするため、寝具や使用器具を選んで使用していくようにしましょう。

おすすめの床ずれ防止用介護用品

褥瘡を防ぐための介護器具として現在推奨されているものの一つに「体圧分散寝具」というものがあります。
これはマットレスの内部に意図的な凹凸を作ったり、定期的に動きを持たせるようにすることで、特定部位の沈み込みや包み込みが起こるのを防ぐという製品です。

特殊なマットレスなので最初はちょっと普通の布団やベッドマットとは違った違和感がありますが、慣れてくると自分で体を動かさなくても通気をよくしてくれるのでとても便利です。

体圧分散寝具の中にも、体の圧力が特定の場所に偏りにくくするマットレスを採用しているというものから、内部に圧切替型エアマットレスという動作可能な機能を採用しているものまでいろいろなので、自力でどの程度体を動かせるかによって選んでいくようにしましょう。

またあらかじめ褥瘡が起こりやすい部分に最初からスキンケアをしておくという方法もあります。
床ずれ防止グッズとして「リモイスパッド(アルケア株式会社)」という製品が販売されています。

こちらはナイロンニット製のシールのようなもので、褥瘡が起こりやすい部分に貼り付けておくことにより表面をすべりやすくしシーツの上で体を動かしやすくすることができます。

また排泄物が皮膚に付着しているとただれが起こりやすくなるので、おむつを替えたあとにスキンケアクリームを塗っておくということも有効です。